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◆どうゆう風に子どもに絵本を与えればいいのでしょう?
まず前提に、絵本は「与える」ものではありません。 「与える」「下ろす」などは大人の思いあがった姿勢から くるものだと中川正文氏。
「絵本を子どもに与えると教育にいいんでしょ?」 こんな姿勢では絵本は子どもの心に届きません。 人間として上下はありません。
絵本はともに共感し、ともに楽しみ、ともに感動するもの、 そして共に成長するものです。
また、親だからといって義務感で、絵本の読み聞かせを やるなどはいけません。 それではしない方が、まだいいかもしれません。
親は親、子は子なりに共々成長していく、ということを 忘れないでください。
◆うちの子どもが絵本を読みません。どうしたらいいですか?
基本的に絵本は読むものではありません。 一緒に読むものです。
子どもの絵本好きは、読んでもらうのがすきなのです。 絵本を自分で読むと、読んでもらうのは全く別物です。
子どもにとって読み聞かせとは親を独り占めし、 その愛情を心と体全体で感じとることのできる最上の時間なのです。
なので、読み聞かせにおいては必ずやさしい気持ちで 愛情たっぷりで読んであげてくださいね。
「もう自分で読めるでしょ、」と、字が読めるからと絵本を 丸投げしてしまうのは「もうあなたには愛情を注ぎません」 と言っているのと同じなのです。 絵本=愛情と考えていただいてもいいと思います。
絵本は基本的に親が子どもをひざにおいて1:1で読むことや、 だれかが子どもに読んで聞かせてあげることを第一義として つくられています。
だから、内容の量のわりにはハードカバーで何世代も 引き継がれるようになっているんですよ。
子どもは何度も同じものを読んでもらいたがる傾向があります。 これは安心感を求めていると考えています。
なので、もう一回とせがまれても、 その要求にはできるだけ応えてあげるようにしてあげてください。
繰り返し読んであげることによって、今の子どもたちの興味や関心、 心の成長などがより深く知ることができるかもしれません。
絵本と読み聞かせはワンセットです。
どんなに素晴らしい絵本でも、読み聞かせのプロセスが 欠落してしまっていれば、子どもの心の奥深くまで届く ことはなく、絵本の意味が損なわれてしまいます。
もし、むずがったり、集中しない場合は、機嫌のいいときを 見計らうなど、子どものペースに合わしてあげてください。
読み手が心の余裕を持って接するのが大切ですよ。
◆読み聞かせをすると学力がつきますか?
少子化により子ども一人一人に対する期待値の増大。 それと同時に親としての責任感の高まりつつあります。 その意識傾向と比例して絵本に対する教育感覚も増えつつあります。
絵本読み聞かせは教育の一環ではなく、心の豊かさや、 親と子の心の交流、きずなを築いてくれるもの、と認識してください。
絵本読み聞かせは効果を期待して行うものではありません。 下心つきの読み聞かせは読み聞かせではなく、お勉強と 何らかわりないのです。 素直な気持ちで、愛情と心を込めて、大きな愛情を注ぎながら 行うのが、本当の読み聞かせです。
そのような読み聞かせを、毎日続けることによって、初めて 効果が現れてくるのかもしれません。 たしかに、読書力・読解力・豊かな言葉・想像力や、聴きとる 姿勢や、考える力など、学力の吸収する基礎となる部分をしっかり 身につけられる可能性があることは示唆されています。
しかし、絵本を教材のように使ってしまっては、 子どもと絵本の間によりよく築かれた関係が、台無しに なってしまいます。参考書になり心が離れてしまいます。
絵本は確かに学習やしつけに効果がありますが、それは絵本と 素直な心で付き合っていく中で、自然に身についていくものです。
焦らず、長い目でみてあげることが、大切です。
最近のお母さん方には、なにか焦りのようなものが、 見えるような気がします。
せめて、幼少期までには「教育」や「能力」でなく、 「心の豊かさ」や「愛情」など、人間の基礎になるところに 注力してあげてほしいと、考えます。
花の知識としてたくさん持っているより、 「このおはなさん、きれいやなぁ」と心から思うことのほうが、 よっぽど素晴らしいように感じられます。
文章をスラスラと読めることよりも、その文章の中から登場人物たちの、 気持ちなどを読み取れたりすることのほうが、素晴らしいと思います。
科学の知識に優れていても、人の痛みや気持ちがわからなければ、 殺人兵器をも、生み出してしまうのです。
心の豊かさや、人の気持ちを読み取る、人間の基礎となるところを しっかりする前に「教育」や「能力」を伸ばすことは、砂の上に 建てられたお城のようなもので、見栄えはいいかもしれませんが、 非常にもろいものです。
豊かになった日本に、犯罪の低齢化や犯罪理由についても不可解な ことが増加しているところの、理由のひとつとして、ここに原因が あるかもしれません。
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